1. 歯ぐきの痛み、それ「放置しても大丈夫」のサインではありません

「歯ぐきに違和感がある」「噛むと少し痛む」「なんだかムズムズするけど、すぐに治るだろう」と、軽い症状を見過ごしていませんか？

実は、歯周病は、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。

多くの場合、痛みを感じ始めたときは、すでに歯周病が進行し、炎症がかなり悪化しているサインだと考えてください。

「なんとなく痛い」という状態は、病気があなたの体に「助けを求めている」声です。

このサインを見逃さず、歯を失うという最悪の事態を避けるために、歯周病の進行と、すぐに対処すべき症状について正しく理解しましょう。

2. 痛みが出るのはなぜ？ 歯周病が進行したときのメカニズム

軽度の歯周病（歯肉炎）では、歯ぐきが腫れたり出血したりすることはあっても、通常、強い痛みは伴いません。

しかし、歯周病が進行し、歯周ポケットが深くなると、炎症が悪化し、以下のような状態になって痛みが生じます。

膿がたまることで生じる強い痛み

細菌感染が歯ぐきの奥深くまで広がり、歯周ポケットの中で炎症を起こすと、膿（うみ）がたまります。

この膿が周囲の組織や神経を圧迫することで、歯ぐきが赤く大きく腫れ上がり、ズキズキとした強い痛みを伴うようになります。

歯を支える骨（歯槽骨）の破壊による痛みやぐらつき

歯周病が重度に進行すると、歯を支えている歯槽骨（しそうこつ）が溶かされていきます。

この骨の破壊が進行すると、歯が不安定になってグラグラと揺れるようになり、食べ物を噛んだときに痛みや違和感として現れます。

3. 痛みがなくても要注意！早急にチェックしたい歯周病のサイン

「痛み」は歯周病が進行している明確なサインですが、痛みが出る前から現れている、見過ごされがちな危険なサインもあります。

一つでも心当たりがあれば、歯科医院を受診するようにしましょう。

4. 痛くて眠れない！今すぐできる応急処置

「歯ぐきが痛むけれど、夜間や休日ですぐに歯科医院に行けない」という時のために、痛みを一時的に和らげる応急処置をご紹介します。

ただし、これらは根本治療ではないため、痛みが引いたとしても必ず後日歯科医院を受診してください。

1. 頬の外側から冷却する：保冷剤や氷水などで冷やしたタオルを、痛む歯ぐきの外側（頬の上）から当てて冷やしましょう。炎症を抑え、痛みを軽減する効果があります。氷を口に含んで直接冷やすのは、刺激が強すぎて悪化させる可能性があるため避けてください。
2. 市販の鎮痛剤を服用する：服用可能な市販の鎮痛薬を用法・用量を守って使用しましょう。すでに別の薬を服用している方は、薬局やドラッグストアの薬剤師に相談して飲み合わせを確認してから購入してください。
3. 低刺激のうがい薬でうがいをする：殺菌効果のあるアルコールフリーの低刺激なうがい薬で軽くうがいをすると、細菌の増殖を抑え、炎症の悪化を防ぐのに役立ちます。

5. 痛みを予防し、健康な歯ぐきを維持するために

歯周病による痛みを経験しないためには、「治療」よりも「予防」が最も重要です。

毎日の徹底したセルフケア

歯周病の原因は、歯と歯ぐきの境目に付着する歯垢（プラーク）です。

歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスも必ず毎日使用し、歯と歯の間、歯周ポケットの中の細菌を徹底的に除去しましょう。

歯科医院での定期検診が命綱

歯周病は、ご自身で治すことはできません。

特に口臭や虫歯のリスクも高める口呼吸の習慣がある方は、日々のセルフケアだけでは限界があります。

「痛みを感じたから行く」ではなく、「痛くなる前に、予防のために行く」という意識に変えることが、歯周病から大切な歯を守る唯一の方法です。

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